木村匡也(きょうやブログ)ThePowerOfVoices

きむらきょうや(木村匡也)のブログ・ナレーター 声で生きる

お子さんから「声優になりたい!」って言われたらどうしますか?反対しますか?応援しますか?

 
 
 突然、うちの子が声優になりたい!と言いだしました。なれるんでしょうか?いくらぐらいお金が必要でしょうか?食えるんでしょうか?
 

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という質問を最近何度かされました。私微妙に違うナレーターなんですが、30年以上この世界にいるので分かる範囲でお答えしています。あ、しまった。ぼーっとしてた。つい最近私はプロの声優にもなりました!これはかなり時間がかかった特殊なケースですがなれました。
 
 
まず親御さんに聞きますが、
 
あなたの息子さんや娘さんが、声優になる!ナレーターになる!どうしてもなる!何がなんでもやる!
 
って言ったらどうします?反対しますか?やらせてあげますか?
 
 
※ ぶっちゃけまずは声優になりたい!(←ナレーターじゃなくて声優!)って言う人が圧倒的に多いでしょうから(笑)声優になりたいってことで話を進めましょう。
 

 

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そぉかぁ、声優とナレーターは違うのかぁ?


 
 
突然ですが ナレーター・声優って もうかると思いますか?食えると思いますか?お子さんの将来のことですから心配ですよね?
 
 
声優になりたい!と言っているそのお子さんが一流大学に通っています。でもどうしても「声」の仕事がしたい言い、企業に就職せず声優学校・声優養成所に通うと言ったらどうします?
 
反対しますか?賛成しますか?
 これは本当に悩ましい問題ですね〜
 
 

 
近年の爆増する声優志望者たち。その親御さん、保護者さんたちの理解、子どもの夢への向き合い方。
 
 
 
ズバリ「最近の傾向」を先に言いますね。
 
今の時代、多くの親御さんは、
「子供には子供の人生がある。可能ならばやらせてあげよう」という考え方が主流なっているかと思います。
 
ううう、ありがたいですね。これを書いてるだけで、「お母さん、ありがとう!」って涙がこぼれそうになります。私のお母さんじゃないのにウルウルします。昔はブチ切れる親が多かったですが、今は子供の夢を大切に思ってくれる親御さんが多いです。
 

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okasan okasan okasan okasan okasan okasan 

  
で、何度か本人と話し合って、本人がどうしてもやりたいと言ってる〜その決意がとても強い、というのを確認したあと〜そこまで言うなら「お前のやりたいことをやりなさい」と言って応援するんじゃないでしょうか?そういうケースが多いと思います。
 
応援する… つまりそれは「声優・ナレーター」の専門学校に行かせるということです。
 
 
つまり だいたい
 
年間 120万〜150万!
 
プラス、特別授業、などの出費がかかります。
 
この金額を用意できるか?という問題になります。さらに東京(関東近辺)に住まわせるとなったら、この学費プラス生活費10万〜12万くらいがかかるでしょう。
 
年間 ざっくり300万!
 

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親御さんには、この金額が出せるか?どうか?という問題が突きつけられます。もちろん各種分割返済や新聞奨学生などはあります。本人がのち返済できる可能性はあるにはあります
 
返済するかどうかは知りませんが、、、、
 

 
 
 
で、2年間専門学校に通いましたが、、、はてさて声優になれるのでしょうか?それはまだなんとも言えません。 声優学校に通わせることは「第一歩」に過ぎません。
 
 
ただ選択肢は増えています。ご存知ですか?大学や短大にも「声優コース」があり、現役プロたちが教えている!。
 
かつて声優になるなら声優専門学校!一択という時代がありましたが、今は大学・短大でも学べる学校があります。
 
あ、そうなんですよ!今、大学や短期大学でも「声優コース」があるんです。全国だいたい15くらい大学・短大で声優の技術を学べるコースがあります。あなたの地元にそういう大学があればそれも選択肢になるはずです。マジで都内に住まわせるのはお金がかかります。
 
 
有名なところ→大阪芸術大学。教授、講師がすごいプロ揃い。大芸大は某大手事務所とタッグを組んでいますから知り合いが「教授」とか講師とかやってます。
 
淑徳大学→表現学科に「放送表現コース」がありアナウンサー、声優、ナレーターなどの表現を学ぶことが出来る。

www.shukutoku.ac.jp

声優のことを学べるという学科・コースを持っている学校はいくつか見つかりますが、その詳細を調べていくと内容は一体どういうレベルなのか?本当に声優なれるのか?ネットに挙げられている情報だけでは何とも分かりません。 
 
コースが確認できる学校、、、他にもあるのかも
 
 

など、、、

 

 

学べる環境:専門、大学、短大、選択肢は増えているが相変わらず ド級の 狭き門「声優」
 
で、専門学校、大学、短大、などに通って声優の勉強をしたんだけど、果たしてプロの声優になれるのでしょうか?
 
もうズバっと、「オチ」を言いますね。
 
狭き門です。超 狭き門です。
 
 
 
なりたい人、約300、000人(三十万!)←もっといる?
プロの声優、約10、000人 
食えてる人 約300人
 
 
 
 
 
 
 

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狭っ → ← せま



 

 
 
というものすごいパイの小ささです。これはプロの声優浪川大輔さんが2013年ごろテレビで発言した数値ですが、鋭く現実をついた言葉で実感としてこのくらいの数値だと思います。さらに食えてる人300人のうち常時レギュラーがある人は100人いないと思います。
 
いいですか?プロでも、プロというレベルまでになった人でも9700人くらい仕事がないんですよ。 
 
「ハハハでも300人食えてるじゃん」、とか「1000分の1じゃん」と楽観視してる人、、、エクセルで円グラフにするとこのくらいです。見える化しといたので目で見てください。

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なんじゃーこりゃ!!!

 

驚いた?「一本割れスジ」が入ってるけど、そこが食えてる300人!
狭過ぎて「プロ300人」という項目が書き込めませんでした。
 
もう全部茶色!なりたい人だらけの茶色で真っ茶っ茶。ということは
 
志望者がものすごいたくさんいるのに、プロになれる可能性が非常に低い職業だということです。
 
 

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エクセルのドットのせいで「幅」が出ましたが、実際はもっと狭いはずです。このグラフだと360分の1くらいには見えますが1000ぶんの1ですから。
 
 
 
さらに増えている声優志望者:アマチュア、劇団員、定年退職者、全ての職業からの参入
 
専門学校などに通わず劇団などアマチュアの活動を続けながら声優を狙っている人もいるでしょう。もうそのあたりの数は把握しきれません。一説には40万〜50万人もの声優志望者がいるとも言われています。
 
さらに近年若い人だけでなく「シニア声優」「シルバー声優」といった定年退職した人向けの学校も出来ました。声優志望者は、老若男女さらに増えています。

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シニア声優、あたしも出来るかな?
 
ですから、自分に近い年齢層、自分と似た声質に10万〜12万人くらいのライバルがいると思った方がいいと思います。
 
 

専門学校の実績欄などを見ると、声優プロダクションに合格した人数を「実績」として掲載している学校があります。それはめでたいことですが、それでプロの声優になった訳じゃあありませんので。
 
プロダクションに合格したか、あるいは養成所に合格したか、ということでも「実績」として記載されます。それはまだプロになる前段階です。本当に狭き門なのです。
 
 
ですから、 
プロとしてちゃんとデビュー出来た人はおそらく 
10人〜20人いるかいないか(←しかもチョイ役)
 
おそらくこのレベルでしょう。
 
絶対ワク数が少ない声優業界。物理的に、声優志望者全員がプロになることは無理。物理的に不可能です
 
10人〜 くらいと書きましたが、、、
 
プロとしてデビュー出来るのはこのくらいでしょう。多めにカウントしてるしれません。だってアニメの数がもうそのくらいしかないんですから。大体年間140〜160本くらいのアニメが制作されているんですが、一つの作品に必要な声優は多くて20〜30人でしょう。
 
主役、準主役、になる人は「売れっ子」ですので、売れっ子には仕事があります。アニメ制作側も売れっ子を使いたいので、売れっ子声優は掛け持ちをすることになります。20人からその分マイナスになりますね。新しい「枠」、、、つまり新人声優に作ってもらえる「枠」はもうほとんどないのです。もちろん端役(チョイ役)からです。モブ(ガヤ)でも何でも台詞なしからスタートです。
 
そこからはい上がっていくのです!!!!
 

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でも問題はデビューしたあとなんです!!
 
デビュー後もずっと声優でいられる人は、わずかに1、2名、
デビューした後もいろんな努力を続けて、声優で「あり続ける」ことがとても大事なのです。
 
だからどうしても1、2名といったところになるでしょう。
デビューした時は、すごい逸材だ!と騒がれていた美声の持ち主も、仕事がこなくなったら、ただの人です。それが何年も続くと事務所に所属していることに疑問を感じ始めます。そして事務所からは仕事が来ない。時間だけが過ぎていく。ずっと声優であり続けるのは自分の力だけじゃない力が必要です。
 
 
テレビのキー局の女子アナもこれに似ている感じがしますね。数千人のトップに立ってアナウンサーに採用されるには、普通の人は選ばれないんです。 彼女たちには何か変わった要素があります。そして女子アナになった後も、ずっとそうあり続けられる人じゃないと務まらないんです。
 
 
 
もう止められない芸能界・アイドル界からの声優インベージョン !(侵略)
 
外国映画の吹き替えは声優の技術のもっともすごい見せ場ですが、ご存知のように昨今の外国映画はメインどころの役を、タレントさん、芸能人、アイドルなどに吹き替えをさせるようになってしまいました。この傾向はしばらくこのままです。
 
なぜか?
 
話題になるからです。
人気タレントが声優をやれば、ワイドショーなどで取り上げてもらえます。そうすれば人々の目に止まり、観客動員数が増えると考えられていますから。
 
タレントといっても中には、しょこたん中川翔子みたいな、ものすごい才能と天性のアニオタ体力指数が高い子もいますから、、、これからもっとタレント枠は増えていくことでしょう。オタク女子もどんどんタレントになるでしょうから声優はますます狭き門に! 
 

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まとめ、、、
 
うちの子供が声優になりたい!と言ったら。
 
1、親御さんとしては、お財布と相談するしかないです。そしてお子さんが本当に耐えられそうなのか、冷静に、親身になってアドバイスすることです。ほとんど人は夢やぶれて諦めるしかない職業です。
 
2、ご本人さんは、多分もうイバラの道だと分かってるんでしょうから、今一度「本当に」なりたいのか、真剣に自問自答することです。親御さんに相当ご負担をかけることになります。声というのならアナウンサーやナレーター、レポーター、ウグイス嬢などもう少し幅があります。
 
なぜ「絶対声優なのか?」説明できますか?
その情熱は続きますか?
 
 

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 わかりました。
 
そう言ってるあなたを、わたしは止める資格がありません。
私だって、その燃えるような妄想だけで30年走ってきたんですもの
 
親の立場からすれば、声優はおすすめしません。
門が狭過ぎます。
門が狭過ぎます。
門が狭過ぎます。
門が狭過ぎます。
 
でも私には止める資格がありません。
自分だって、なっちゃったんですもん。
 
 
親御さん、こんな言葉でごめんなさい。
 
 
でも最後にもう一つ、なりたいご本人さんに言わせてください。
 
この仕事は、必死にやれば報われる、、、とは限りません。生まれつきめちゃくちゃウマい人がいるんです。そいつに勝たないといけないんです。闘えますか?
 
 
どうですか?最初から残念なお知らせなんですが、本当です。声の仕事も「芸」のうちですから、なぜか生まれつきめちゃくちゃウマい奴がいるんです。大した努力もしてないのに、そいつはめちゃくちゃウマいんです。天分とか才能とかいうものがあり、その辺は神様は公平ではないのです。
 
 
 

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でも、必ず「弱点」があります。
 
絶対に死ななそうなボスキャラでも、何回も何回も攻撃すれば、必ず殺すことが出来ます。絶対にゲームはクリア出来るのです。どんなボスキャラにも弱点があります!
 
 

 
プロの声優になりたいのなら、戦える?
 
勝ち目があまりない戦いについてこれる? 
 
それを鏡の中の自分に聞いてみてくださいね。
 
 

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 覚悟はいいですか? 死してしかばね拾うものなし!
 
 
 
 
次回、、、プロのナレーターになった人たちが仕事に困っている現状に、どうやって立ち向かうのか? プロになってちゃんと声で金を取ってくる心構えについて書きます。お金は大事です。←その話をぶっちゃけます!!!
お知らせ! もうその「次回」は書き上げましたので、すぐ下にリンク貼りました。もうちょっとだけ下です。

あ、ちなみに私はずっと
フリーでテレビの世界を生きてきました
電波少年も、めちゃイケも、格付けチェックも、全部一人。営業は自分しかいません。マネージャーなしです。運だけではとても生きていけない世界です。レギュラー番組が終わる恐怖は以前書きましたので、よかったらどうぞ。
 
 次回!とさっき言ったパート2です。
 
 
 
 
 

 
 
第25話 終了